がんばれないひと。

統合失調症歴10年。35歳男の雑記です。地元のフリーペーパーの記者をやっています。

映画『ビフォアサンライズ』に見る人間論。

f:id:risrpd:20180830211537j:image

 

舞台はヨーロッパです。偶然、列車で隣り合わせになった男女の1日だけのラブストーリー。とこう書くとなんだか三流映画のように思えてしまいますが、ベルリン国際映画祭銀熊賞を受賞した格調高い映画であります。

 

どこが格調高いかと言うと、特に恋愛という運の要素が満載の概念を、上手に映像にしているからです。

 

また僕が一番惹かれたのは、男女ともに未来を考えたときに現在がどうかを、お互いに正確に捉えて認識し、それを言葉にしているところです。

 

象徴するように冒頭のシーンで、ある中年の夫婦が列車内で喧嘩をしているのです。それにウンザリした女が席を移動し、偶然隣り合う男と意気投合する。

 

この意気投合には、決断があるのです。二人のデートが終わりに近づくときにこんなセリフが二人のうちから囁かれます。

 

「僕たちは確かにすごく気が合うし、結婚するべきだと思うんだ。でも一緒になったら、もう今のような感動はお互いになくて、結婚なんかしなければ良かったと思うようになる。それを避けるために僕たちはやっぱり行きずりの旅人同士1日で別れるべきだ。」

 

そうは言うものの、そういうロマンスの感性ですら同じだという二人はお互いに対して未練タラタラ。

 

僕は恋愛には二タイプあると思っています。

 

一つは後先考えない恋愛。燃えるように愛し合って結ばれる二人。

 

もう一つは後先考えるタイプ。現代の日本の三十代を過ぎた未婚の男女はこっちを重視しますね。婚活っていうのは、自然恋愛に比べたら、お互い打算の比重が高いように思えます。

 

で、考察をするんですが、この映画に出てくる二人は、この二タイプのいいとこ取りをしているんです。

 

つまり、1日だけ、それも偶然知り合ってお互いに好きになった二人という前者の要素があり、また上記で挿入した会話のように、打算というか見越しもあるわけです。

 

知性というのは、僕の持論だと、裏も表も知る、ということであると思っていて、そういう意味でそれをお互いに告白した二人はバッドエンドもハッピーエンドも、どっちも受け入れる覚悟はある。

 

だが、この映画では、ラストのシーンでやはり二人とも理性ではない部分を抑えきれなくなり、あたふたジタバタする人間臭さを露呈している。

 

そういう予定調和ではない結末があるストーリーはどうしたって、観る側も人間である以上、刮目せざるを得ないのである。