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がんばれないひと。

統合失調症を発症して八年目。思っていることとか人の役に立ちそうなことを書いている雑記ブログです。

統合失調症と生活保護。

僕が昔、A型就労施設という精神病患者専用のアルバイト職場でデータ入力の仕事をしていたとき、その職場で当時38歳くらいの元プロダクトデザイン会社に勤めていたデザイナーさん、同病の方だったのですが、と知り合ったことがあります。Aさんです。

 

なんでも発病して10年が経ち、実家の農家から発症する前までの本業だったデザイナー稼業で身をたてようと、都心部に出てきた人でした。

 

Aさんは障がい者年金を受給していませんでした。僕が広く知り得たところによると統合失調症であれば2級の年金がもらえるというのは定説でした。きいてみると、障がい者年金の受給要件である、ある時点までしっかり年金を納めていたかという条件を満たしていなかったそうです。年金を払っていなかったんですね。

 

それでAさんは一人暮らしをしていたのですが、A型就労施設で週に五日、一日五時間働いてもMAXで八万円しかもらえません。AさんはひとまずA型就労施設で働き、デザインの仕事のため転職活動をしている状況でしたが、うまくいっていないといつもこぼしていました。

 

MAX八万円の給料でどうやって一人暮らしの生計が成り立っていたのか僕には想像できません。

 

実家が農家だったので米を送ってもらい、毎日米ばかり食べて、米太りしていると言っていました。

 

僕が、データ入力の仕事が自分には合わないのとあと生活がきついといつもこぼしていたAさんに体調が悪くなりそうでもらえるのだったらと生活保護を薦めた記憶があります。

 

Aさんはとりあわなかったのです。いわく「生活保護もらっているやつは楽をしている、悪である」

 

そういった考えの持ち主でした。

 

でも僕が今になって推測すると、生活保護は頼れる親族とかがいなくなったときの最後の砦。

 

Aさんは実家に舞い戻るのが嫌だった一面もあるのでしょう。デザイン会社に勤めて、将来は彼女をつくって結婚も考えている人だったので、デザインの世界で勝負したかったおもいは推測されます。

 

ある作家が、昨今の、たとえば日比谷公園なんかで開催される”炊き出し”のテレビ番組をみたりして、「あの人たちは田舎に戻って実家でとりあえず生活を安定させる方法はとれないのか」と呟いていました。

 

日本は今格差が激しいです。社会学上よくいわれるのはそれだけ生活が安定しない人たちが増えると、いつかそれこそ社会に大ダメージを与えるような、”混乱”が起きるとされています。犯罪かもしれませんし、そういったものは想像できますね。

 

その作家の言葉通りの方法が、やむをえない事情でとれない人の場合のために生活保護はあります。

 

Aさんは結局、ほどなくして他のA型就労施設に移ったのですがそこでもまた今度は鬱病にかかって働けなくなり、そして最終的に実家に戻りました。

 

僕がみてきたなかでA型就労施設で働きがいを感じている同病の人はたしかにいます。

そして病院内を見渡せば、入院しているさなかに生活保護を受給し、院内で日々を過ごしながら生活保護でお金を貯めている独り身の50代の女性の同病の方もいました。

 

僕はA型就労施設をやめたあと掃除のバイトをしたりその後の今にいたるまで統合失調症患者が生きる道をずっと探っていたのですが、

 

ある再発歴が何回かある統合失調症ブロガーさんのなかで、統合失調症はアートの世界、つまり感性が武器にできる場所で活躍すべきという主張をしている方を、ブログを通してですが見知ったことがあります。

 

そういったさまざまなおもいがある統合失調症患者さんたちには生活保護に善も悪もありません。僕は今になって確かにそう思います。

 

Aさんは「同病で生活保護をもらって彼女つくってバイク乗りまわしているけしからんやつがいる」と不満そうにこぼしていたことがありますが、その発言の裏には自分もそういう生活がしてみたい願望が隠れているように僕には思えました。

 

僕は手放しで生活自体に楽を覚えるような人生を歩みたいとは思いません。そのバイクを彼女と乗り回している人を羨ましいと思ったことがありません。なぜなら、そういったいわば誇張していうと豪遊みたいなことをしても体調が悪かったりしたら楽しいものも楽しくなくなってくるかもしれないリスクを知っているからです。楽しみ自体を、ただのひねくれで突っぱねているわけではなくそれはそういうものとして受け止められますが、その過程に味わうかもしれないリスクと無縁でいられない自分を凝視しているのです。また、そうやって内面をみつめると他人の内面も慮ることができます。バイクを乗り回して彼女といる人も同病なのだから、自分の症状にはない苦しみや悩み事も多々あるんじゃないかとか。

 

陰性症状が強く出るかもしれないときに、ただでハワイ旅行をプレゼントされてもうれしくないでしょう。

 

Aさんは最後にきいた情報だと、個人事業主として田舎でデザインの仕事を受注できないかどうか模索しているところだといっていました。

 

統合失調症は症状が人によってさまざま。生きてきた背景も現状もとうていソーシャルワーカーさんでない限り、深く理解できる機会もない場合がほとんどです。そういう人たち(統合失調症患者に限らないかもしれませんが)の生活保護については、どんな意見も言うことができない。