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がんばれないひと。

統合失調症を発症して八年目。思っていることとか人の役に立ちそうなことを書いている雑記ブログです。

『最後の秘境 東京藝大―天才たちのカオスな日常』が最高につまらなかった理由。

読書

あのですね、なんというかこれが東京芸術大学のオープンキャンパス的な目的で魅力をアピールするならそういう目的の本としてはありえるのだと思いますが、この内容で一般読者の気を惹いて魅力的にみせるというのは成功しているようですが読者は騙されているようにも思います。

 

それはひとことでいうと

 

「芸大でなくてもこういう一風変わったところのある場所や人というのはどこにでも存在する。」というものです。

 

これはあらためていうと吉本に所属している芸人の発想とか人物像をテレビでみせているのと大差ないんですね。

 

そういう意味でこういう本を出そうという発想と面白いなあと思った人が低俗だと思った。最後の秘境というのはアカデミズムに守られた大学という場所以外にもあってむしろそっちを探す方がネタとしてすぐれている。

 

たとえば毎日お客様にあきられないように百円均一のお店で売る商品のアイディアを考えている人とかそのへんのラーメン屋でどうすれば飽きられずにラーメンの味をアップデートできるか日々考案している人とか、そういう人たちの私生活の方がずっと面白いと思いますよ。なんせ生活がかかっているわけですから必死です。

 

アイディアを出さなきゃいけないというのは絵画とか音楽だけではなく身近にあるものです。本書は絵画と音楽あと彫刻とかに取り組む学生の、ふつうの学生とは違う発想と行動とライフスタイルと学校の性質をみせていますが、

 

そんなの知ったところで何になるのでしょうか。ただ芸大に通っているというだけの別に特殊でもない人たちのように思えます。内容に踏み込みますが、なんかなんでもDIYをする著者の芸大の学生である妻の行動を観察して、お金でなんでも解決しようとする自分とは正反対なところをみたとか述べてますが、そもそもDIYなんてこんなにいっぱい世の中にホームセンターがあるくらいだからみんなやってます。実用的ではないものを作っている人も多いんじゃないでしょうか。総じて僕はさっぱり面白いと思いませんでした。

 

別に芸大じゃなくても絵を描く人はいるだろうし音楽もまたしかりです。なぜ芸大というくくりにしたのかは著者が説明していますが、「ある意味、東大よりも難関の大学だから。」というのが理由だそうです。

 

でもこれもあんまり説得力ありません。だって大多数の受験生は芸術を志すよりも偏差値が高いところを目指しますから、受験倍率とかがいくら高くてもデータの切り取りかたにアンフェアなものがある。

 

芸大生の変わっている、面白い、そういうところをアピールしたかったようですが、本書の内容にも学校の近くにふつうにホームレスがいると書いてあるように、おそらく上野付近で日々サバイバルできているホームレスの方が、シビアだとか哀愁を持っているに対して元気だとかユーモアがあるホームレスに種類も二分されるかもしれないですが、楽しんでいるホームレスはよっぽど発想力豊かではたからみて面白い生活をしているように思えます。なんせ前述したように今現在リアルに生活がかかっているわけですからね。そういうのを賭した生き方とかサバイバル術だって立派な芸術、それこそはたからみた場合の秘境のような気がします。よって本書は芸大に通いたいとかもしくは興味があるという学生向けの本のようにしか思えなかった。