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がんばれないひと。

統合失調症を発症して八年目。思っていることとか人の役に立ちそうなことを書いている雑記ブログです。

精神病患者に絶対おすすめの本(無料)。

 

精神病覚え書

精神病覚え書

 

 

えーっと僕自身、プロフィールにもあるとおり、統合失調症と診断されて八年目です。

で、やっぱり病気になってしまったからにはいろいろ病気とかそれにまつわること知りたいじゃないですか。

 

それで昔は統合失調症に罹患した有名人とかそういうのをみたりしていたのですが、

真実を言うと、別に有名だろうとなかろうと100人に1人の割合でこの病気にはかかります。

 

僕の場合、被害妄想があった。幻聴はなかった。幻視もなかった。不眠はあった。強迫性障害のような状態もあったが、パニック発作というのはなかった。

 

症状は千差万別で、薬による治療の過程の良し悪しも千差万別です。僕の場合、ある程度は治療が成功しています。最近、鬱っぽい症状が出ているのですが、夜の薬を飲むと良くなるので、今度、病院に行って、昼間も良くなるように薬の調整をしようかと思っています。そうじゃないと今度は躁鬱病っぽくなるのが不安なので。

 

で本題です。上に挙げた本。これは青空文庫で読める坂口安吾の散文のようなものなんですが、とにかく秀逸なのです。

 

統合失調症に罹患した人の中ではその人並み外れた妄想力を文章にして人を恐怖にも面白がらせるようにもおちいらせる表現力が多才な人がいます。実際にそういう本もあるので、読んでみたら、いかに統合失調症患者の中にもとてつもなくぶっとんだ感覚の人がいるのがおわかりになるかと思います。

 

でも僕はそんなものにはあんまり興味がなかった。それよりも”この統合失調症という治療だけ確立されていて発症原因は不明という病気が何なのか”、それを知りたかった。

 

そこでこの本に出会います。ちなみに坂口安吾自身は精神病ではありません。坂口安吾がなにかのときに入院し、そのとき統合失調症だったともいわれるゴッホについてのありとあらゆる文献を読んだ小林秀雄との会話や、病院でみた統合失調症患者の青年の様子などを観察して、考えたことがとりとめもない感じでつづられているのですが、なかなかその筆致が硬派なのです。

 

まあすぐに読めてしまう本だし、本のネタばれは本読みの世界の常識的にOKなので結論を言うと、統合失調症である人がどちらかというと人間的で非暴力的というような書き方をしています。つまりふつうの人が動物的で暴力的というような見方です。

 

僕は自身が病気だから人一倍この意見に与して”俺は純潔なんだ!”と豪語したいわけではありません。ただそういう傾向は確かに僕のこれまでの僕以外の患者さんをみてきたり、健常者の人をみてきたりして素直にあるんじゃないかと思ったというそれだけのことなのですが、ふつうに考えてみてもそうじゃないですかね。

 

銃をバンバン撃つマフィアが統合失調症の陰性症状(無気力状態のこと)を患っているとは思えないし、基本的に患者さんは善良なんです。

 

僕も病気になる前にふつうにお金を稼いでいた時はこのまま順調に資産をつくったら、

めぐまれない人にわけあたえるくらいの清さがないと駄目だなと真剣に思っていた時期もあるし、まあ結果的に今は障がい者年金に頼って、それどころじゃなくても、僕じゃなくても患者さんは、”ただ不運だった”という感じの人が多い気がします。

 

だから豪語するのはあれでも、こういう文化的に優れて残っていてしかも無料の本を読んで、自分はまだまだ価値があるぞとそっと思うだけでも、生きやすくなると思うんです。またそれ以外にも、僕は坂口安吾のこの本を書いている態度のようなものが文章中から伝わってくるのですが、どこか澄んでいるところがあって好きです。

あと意外と勇気をくれたのは”統合失調症は頭の理性が失われることはないそうだ”というような部分の記述。僕は他の何を失ったとしても理性だけが失われるのはやっぱり怖いと思っている人です。なので坂口安吾に言われるとそれもまた、お前はまだ大丈夫だ、とそういわれているような気がして元気づけられます。